P法有限要素法とは?

StressCheckは、P法有限要素法解析システムです。このP法とは何でしょう?
簡単に有限要素法の歴史からご説明致します。

有限要素法は、1950年代後半にアメリカで開発されました。 そしてその方法は、弾性学や構造力学の深い知識が無くても様々な形状の構造物を解析できるという点で 飛躍的に発展しました。 しかし便利な反面、以下2つの大きな問題点がありました。
それは、
要素の切り方によって、解(答え)が大きく異なる
解析した結果(答え)の精度が不明

この様な問題点に対し、精度を向上させる為には 要素を小さくしながらそれぞれの解を求め、精度を調べていくと言う方法が最も有効であると 長い間信じられて来ましたが I.Babuska(Texas大学、ESRD創設者)や、O.C.Zienkiewicz(Wales大学)らによって、 変位関数の次数をあげることも有効であるという事(P法)が1980年代に証明されました。従来の有限要素法(H法と言います。)は、要素を細かくする事により精度を向上させます。P法は、要素分割を変えずに高次関数を用いて変位を近似することにより精度を向上させる方法です。
このことを、以下の図のような関数の近似で説明しましょう。
例えば、図1の様なグラフ(変位)を関数で近似してみましょう。
従来法(H法)では、図2の様な折れ線(関数の次数が1、つまり1次です。)で近似します。分割数を細かくしていけば良い近似になります。
これに対し、P法は、図3の様に2つの1次関数といくつかの高次の関数の和で表そうとする方法です。
P法有限要素法とは、この様な関数を、シェル要素の辺上やソリッド要素の面上の変位として仮定し、有限要素の定式化を行います。
変位の仮定以外は、通常の有限要素法と全く同じです。また、P法の要素は、通常の有限要素法に比べ大きくても良いので、 必然的に曲面や曲線の要素が必要になり、曲線座標系を用いた定式化が行われます。




図1:グラフ


図2:従来法(H法)の近似


図3:P法の近似

以下の図は、P法有限要素法とH法有限要素法の要素です。 自動要素分割機能を使用して、StressCheckと某H法解析ソフトで円に要素を作成しました。


P法の要素です。要素数は4です。

H法(従来法)の要素です。要素数はいくつでしょう?


この様にP法要素は要素がとても大きく要素数が少なくてよい為、H法と比べ、数10分の1〜数100分の1以下の要素数で解析することが可能です。
     

上のH法の例では、要素が小さくて良く分かりませんでしたので要素数を少なくしてみました。従来のH法の場合、右図のように曲線部分は直線による近似になりますので円の直径が変更された場合は、要素を作成し直す必要があります。(詳しくは後述。)
しかしP法の場合は、要素の一辺は曲線で円の直径が変更されても同一の要素です。要素再作成の必要はありません。

     

では、ここで同じモデルをP法とH法とで解析してみましょう。 モデルは、穴のあいた平板です。対象形なので、4分の1のモデルで解析します。


     

上の2つの図の上側がP法の要素(解析モデル)、下側がP法での解析結果です。 P法の要素数は5です。このときの相当応力の値は、31.7でした。 では、以下にH法で要素を変えて(細かくして)解析した結果を並べてみます。
(モデルの左側部分を取り出して並べています。)


相当応力の値:20.9
要素数:


相当応力の値:25.2
要素数:20


相当応力の値:28.5
要素数:80

相当応力の値:30.1
要素数:320

相当応力の値:30.8
要素数:1280


相当応力の値:31.1
要素数:5120



ご覧の通り、要素をかなり細かくしないとH法では良い答えを導き出せません。上記の例では、5120もの要素数でやっとP法とほぼ同じ答えを出しました。
この様に、H法(従来法)では要素の違いにより答えが大きく違うことがわかります。その為要素作成に対して豊かな経験を必要とします。
つまり、以下のような事がわかります。
  −誰が要素を(解析モデルを)作成したか(初心者か経験者か)
  −応力が高い箇所は予め要素を細かく作成する必要がある

P法では、要素作成にこの様な事はまったく必要有りません。またP法と同じ答えを出す為には、H法では上記の例のようにかなり多くの要素を作成しなければなりません。要素を細かくするほどに解析時間が多くかかります。「P法は、H法に比べると解析時間がかかる。」と言われる事がありますが、これは間違いで、同じ答えを出すならばP法の方が早い のです。違う答えで比較しても意味がありません。
このことについては、機械学会に発表した論文がありますので詳細は、こちらをご覧下さい。

1970年代から1980年代にかけて、I.Babuskaや“P法の父” B.Szabo(Washingtong Univ.)らによる多くの研究成果によって、P法有限要素法がH法有限要素法に比べて2倍の収束精度があることが証明されています。



P法について更に詳しく知りたい方は、下記の資料もご参照ください。